中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

出島方式を実現する方法論2:出島を任せられる人材の要件を考えてみる

(今回から文体を変えさせていただきますのでご了承ください。)
 出島として選んだ拠点のトップを誰に任せるかというのは、海外事業の成否を左右する重要な点であるので、その要件を考えてみたい。 まず、外から採用する場合について考えてみる。

1.実績がある
当然のことながら、海外拠点のトップマネージメントとして、過去に具体的な成果を挙げていること。出来る限り複数の組織、もしくは複数の拠点において実績を挙げていること。 あとで説明するが、成果を評価するにあたっては、コスト削減と成長戦略両面において、具体的にどのような成果を挙げたのかを詳しく見る必要がある。


2.目線の高さ(≒自己と組織の成功に向けた健全な野心をもっている)
経営者として、更に高い成果をあげたいという、高い目線を持っていること。 そしてそれを実現するための努力を本人が続けていること。
 
 自分自身、採用する立場となることもしばしばあるのでよくわかるが、この2つを満たす人材というのは実に少ない。 おそらく、人材紹介会社のサービスを使った場合、50人程度を書類選考し、そのうち5-10人程度を面接、その中に一人「この人を採用したい」と思える人が居れば良い方であろう。 但し、最終的に条件交渉がまとまらずに採用に至らないケースもあるので、とにかく時間がかかると覚悟しておいくこと。 
 
 私は日系企業の海外現地法人4社においてハンズオンでマネージメントを行ってきた。 その経験に基づいて、上記1について若干補足したい。 日本企業のの海外現地法人の業績が良くない場合、その原因は「やるべきことができていない」という点に尽きる。 この「やるべきこと」というのは、一言で言えばとコスト削減と成長戦略の実行である。 更に、この成長戦略というのは、成長のための戦略策定と、その戦略を確実に実行できる組織作り(システムと人材育成)から成り立つ。この中で、コスト削減は比較的容易である。 「比較的容易である」というのは、どの組織でも、どういう具体策を打てば良いかはおおかた共通しており、それらを徹底して実行すれば、短期間で確実に成果が上がるという意味である。 一方で、成長戦略というのは本当に難しい。 その組織によって直面している課題が大きく異なっている上、サステナブルな成長を実現するためには、組織作りと人材育成も欠かせないからである。  
 
 外部人材を採用する場合、まずは定量的な実績(例えば、「3年間で売上XX%増、利益XX%増」)を見ることはもちろんであるが、その実績を挙げるために具体的にどのような取り組み(コスト削減、成長戦略、組織作りのための打ち手)を実施してきたのか、それぞれの取り組みにおいてどういう点で苦労したかを深掘りして質問することがそれ以上に重要である。 以前は「経営はヒト、モノ、カネ」と言われていたが、最近は「ヒト、ヒト、ヒト」と言われることが多くなってきた。 企業にとってグローバル化やITによるイノベーションを導入するにあたって、本当に必要な人材が極度に不足していることの現れであろう。