中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

「出島方式」によるグローバル化とは?

 より正確に言うと、「出島方式で(いつのまにか)主従逆転」という方法です。 まさに読んで字の如くです。 今流に言うと「特区方式」と言ったほうが良いかもしれません。 具体的には、まずは海外の最も重要な一拠点に徹底的に磨き上げる、次にそこで蓄積したノウハウを多拠点に横展開していく。 最終的にはグローバル本社機能をその磨き上げた拠点に移転するという方法です。 私は中小企業が存続の危機に陥ることなくなんとかグローバル化を成功するためには、これしかないという結論に達しました。 ただ、その企業がある一定の条件を満たすことが必要ですが。 この条件(それほど難しいことではありません)については、またのちほど説明したいと思います。
 
 実はこの「出島」という言葉には、私がビジネスブレークスルー大学院経営学修士課程(コンサルタントの大前研一さんが学長の、E-ラーニングを活用したMBAコース)にて学んでいた際、そのなかのある講座ではじめてお目にかかりました。 「言い得て妙」で感心した記憶があります。 日本は江戸時代、鎖国をしていたため江戸から遠く離れた長崎の出島で海外との交易をしていたのは皆さんご存知のとおりです。 今でも多くの日本企業において、本社から傍流と見られている一部の海外事業部が海外事業の拡大に孤軍奮闘している。 この図式はまさに江戸時代の出島で海外交易をしていたときと本質的には変わっていないという、若干シニカルなコンテクストの中でこの言葉が使われていました。 ここ数年で企業の海外事業に対するプライオリティは急上昇し、海外部門は傍流ではなくなりつつあるものの、人材が決定的に不足して有効な手が打てていない為、残念ながら実質的な変化はほとんど現れていません。
 
 この講座を視聴した時、本社エリートから見れば傍流中の傍流(海外在住かつ転職組)のキャリアをずっと歩んできた私は、「あ、これだ!!」と思いましたね。 「出島」方式にこそチャンスがあるのではないか、石頭相手に(失礼!)本体(江戸幕府のような本社)変えるのに莫大なるエネルギーを使うより、自分の居る海外拠点を磨きあげる方にエネルギーを使い、そのうち本社が無視できないくらい存在価値を示す。 外から(黒船化して外圧で)本社の考え方を変えるほうがよほど現実的だと思いました。 そのほうが自分の人材価値も上がり一石二鳥です。 
 
 この出島方式を実施するにあたっても様々な阻害要因が立ちはだかってきますが、それでもまだ本社から変えていこうとするよりは遥かにスピード感を持って進められる、したがって成功する確率が高まる方法であると今は確信しています。 次回からはどうすれば出島方式を実現できるのかについて述べてまいります。