出島人材の育成2:そもそも、海外現地法人責任者が成果を挙げるためには何が必要なのか?
具体的な人材育成方法を考えるにあたって、まずこの点を明確にしておく必要がある。 大きく分けて3つある。
1.ハードスキル(≒IQ)
当然のことながら、海外現地法人責任者は「責任者」という肩書とそれなりの待遇を得ているのであるから、現地法人の経営に関して最終責任をすべて負う経営者なのである。 経営するためには会社の組織機能(営業、製造、財務、人事、法務等)全てに関して、経営者としての意思決定をできる最低限の知識やスキルが必要となる。 これに加え、近年ICT技術の進歩も著しくこの分野での知見も必要であり、経営者にとってはますます負担が大きくなってきている。 経営者である限り、一生スキル習得をし続けることは必須である。(逆に言えば、こういうスキルを持った経営者の価値はこれからますます高くなっていくであろう。)
2.ソフトスキル(≒EQ)
一言で定義するのは難しいが、敢えていえば「経営に関わるできるだけ多くのステークホルダーを味方につけ、成果を上げるために自分に欠けている能力を補ってもらえるようにする能力」である。 例えば、
1)社員の能力を最大限に引き出し、継続的に成果を上げるためのリーダーシップ
2)直接の上下関係がない本社や他拠点のスタッフ達がいろいろなサポートをしてくれるような、良好な人間関係を築く力(読者のみなさんも、直接の上下関係がなくとも、「あのひと(あるいはあいつ)から頼まれたことは、優先してやってあげよう」という人が何人か思い浮かぶと思う。 そういう力を持つことである。)
3)社外のステークホルダー、例えばお客さんやサプライアーさんが有形無形の援助をしたくなるような資質
といったものである。 ソフトスキルは1のハードスキルと比べるとその人の人間性や人格、人徳といった部分が大きい。 成功した経営者で「私は運が良かった」ということを言われる方が多いが、その人自身がこういった能力(魅力)を持っているが故に、廻りの人たちが有形無形の助けを与えてくれる(ときには本人も気づかないところで)、これが「運」の正体の一部であるようにも思える。
3.成果を挙げるためのコミュニケーション力
2に含まれるようにも思えるが、特にグローバルな環境では語学力や異文化間のコミュニケーション力も極めて重要である。 日本人の場合せっかく上記1,2の能力があるのに、この部分で損をしているケースが非常に多いため、敢えて別項目とした。 自分で業務を遂行できるレベルの語学力だけではなく、異文化環境で良好な人間関係を維持しながら人を動かすための総合的なコミュニケーション能力である。
次回からは上記の一つ一つをもう少し掘り下げて考えていきたい。
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