中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

出島人材の育成4:人材マネージメント制度の重要性4

 本題に戻り、前々回で述べた「人材マネージメント制度の重要性2 2)組織に残ってほしい従業員にはできるだけ長く働いてもらう。(裏を返せば、残ってほしくない従業員には去ってもらう。)」について具体的に説明したい。 私がマネージメントの仕事をしてきた北米、シンガポールとも、日本と比較して労働者の流動性がかなり高い国である。 こういった国でパフォーマンスの高い組織を作るためには、流動性の低い日本とは人材マネージメントに対する考え方を根本的に変えることが必要である。 残念ながら、実態は多くの日系企業の現地法人は適切な人材マネージメントができておらず、ぬるま湯的体質になってしまっている。 そうすると必然的に、そこで働く社員も楽をして適当にやっていこうという志向をもったスタッフばかりになりがちである(優秀な社員は転職してしまう。) こうなると、組織のパフォーマンスも上がらず業は低迷、その結果市場と比較して低い報酬にとどまらざるを得ず競争力を失い、優秀な社員が更に辞めてしまうという悪循環となる。 
 
 では、どのように考え方を変えれば良いのか? 誤解を恐れずにあえて結論を言えば、毎年の人事考課でパフォーマンスの低いほうから10%程度の社員が去っていく(できれば自主的に、だが時には解雇も必要。 しかし、解雇を実施する場合は当然のことながら、法律だけでなくその国の文化も考え、十分準備をして実施することが必要。 これはまた別の機会で述べたい。)、そこで生じた欠員はポテンシャルの高い人材で補充しているというのが健全な姿であると考える。 要は組織の新陳代謝が健全に行われているということ。 これは、私が自分の経験に基づいてたどり着いた現時点での結論である。 
 
 例えばシンガポールの場合。 以前人事関連のセミナーで、シンガポールのスタッフターンオーバーは平均十数%という話を聞いた。 この数字をベンチマークとして、これより大幅に高くても低くても、またこれに近い数字であってもハイパフォーマーが辞めていってしまうというのは、その組織の人事マネージメント制度がうまく機能していないと疑うべきである。