中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

出島人材の育成4:人材マネージメント制度の重要性5

 今回から、「組織に残ってほしい従業員にはできるだけ長く働いてもらう。(裏を返せば、残ってほしくない従業員には去ってもらうよう仕向ける。)」ための人材マネージメント制度とは具体的にどういうものか、どう構築していくかを考えていきたい。 基本的なおさえから始めると、制度上必要最低限の要素は ①目標設定と評価 ②報酬見直し ③等級と役割期待 ④報酬制度の確立 の4つである。 また、海外法人の責任者として会社業績を立て直しながら制度を改善(導入)していくケースを考えると、この順番で整備していくのが良いと思う。 


 本来ならば4つの要素を全部を一気に作り上げて導入するのが良いが、自分の経験では(外部から転職して海外現地法人の経営立て直しにあたっているケース)、会社存続のためにより優先順位が高い他の課題がどんどん現れてくるので、全部同時に取り組めないというのが現実であった。 また、そもそも私は人事のスペシャリストではなく、そういう経営者が人事制度を作っていくのであるから、色々と学んだり考えたりしながら試行錯誤を繰り返すというプロセスにならざるを得ない。 もともと営業からキャリアをはじめた私にとっては、人事関連の仕事には正直なところかなり苦手意識を持っており、できれば避けたい分野であった。 しかし、業績をV字回復からサステナブルな成長軌道に載せていくためには、しっかりとした人材マネージメント制度を確立、運営することは不可欠であるので、同じように苦手意識を持っている方もどうか諦めて取り組んで頂きたい。


 続いて、①から④の要素を一つずつ簡単に説明していく。 まずはじめに「①目標設定と評価」を持ってきたのは、そもそも社員のパフォーマンスが悪い原因のかなりの部分はこれができていないからである。 まず、パフォーマンスが悪い社員を否定する前に、そもそも会社が社員と話し合ってきちんと適切な目標設定をしているのか、期末(あるいは月次、四半期、半期)で結果をレビューしてフィードバックしているのかを経営者が考えるべきなのである。