中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

出島方式を実現する方法論1:全体像とスケジュール

 では出島方式をどうやったら実現できるのでしょうか?  今回からその方法論を考えていきます。 出島方式では、最も経営がうまくいっていると思われる海外拠点を一つ選んで、そこを徹底的に磨き上げることになります。 残念ながら、中小企業において経営がうまく行っている海外拠点というのはなかなか無いのが現実です。 「一番マシ」な海外拠点を選ぶというのが実態です。 その「一番マシ」な海外拠点ですら利益がほとんど出ていなかったり、実質赤字というケースも多いでしょう。 
 
 大まかなスケジュールとして、止血(リストラ)1年、まともに成長できる組織にするための仕組み作りに2年、仕組みを定着させて持続的成長軌道にのせるのに2年と、5年がかりの仕事になります。 本当はもっとスピード感を持ってやりたいところですが、私の経験では現実的には本社からのサポートはあまり期待できず(サポートできる人材が育成できていないため)、現地トップが孤軍奮闘することになりますので5年でできればまずまず成功と考えるべきです。
 
 そして、次が一番重要な点ですが、選んだ拠点のトップを誰にするかということです。 最低限必要なレベルは、前回のコラムでいうとレベル2-1で実績を上げており、今後経営者を目指したいという強い志と覚悟を持った人材が必要です。 ここは絶対に妥協してはいけません。 社内にそういう人材がいてくれればもうけものですが、現実的には外部人材に頼らざるを得ないケースが多いと思います。 この段階で、「ああ、ウチももっと人材育成に力を入れておけばよかった」という企業も多いでしょう。 更に、日本はこういった人材が決定的に不足していますので、外から探すのにもかなり時間がかかります(半年から一年程度見ておいたほうが良いでしょう)。  そして、本当にいい人材が見つかったら待遇もフレキシブルに、現行の賃金規定に固執しないことも必要です(規定給与+成功報酬という契約も含めて)。 この人選に失敗するとあとあと大変な時間のロスになりますので、繰り返しになりますが妥協は禁物です。