中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

出島方式を実現する方法論4:出島を任せられる人材の要件を考えてみる3

 前回の記事の中で、外部人材のノウハウを内部人材が吸収する、こうして育った内部人材が次の人材育成にあたるという好循環が生じるのが理想的な姿であるという話をした。 この外部→内部へのスキル取り込みは大変重要な点であるので、自分の経験も含めて少し補足しておきたい。
 
 出島トップ人材としての最終目標は、どんな条件下でも任せられた現地法人において期待以上の業績をあげられることである。 そういう人材が成長する過程は直線的なものではなく、右上がりで上昇しつつも何かきっかけがあってトンと一段上がるという軌跡を繰り返していくように思う。(もちろん、この軌跡を描く大前提として、本人がゴールに合った正しい努力を続けていること。) そして、この「トンと一段上がる」きっかけの中でも最大のものは、自分の目標となるロールモデルと出会うことである。(それが上司であればなお理想的である。) 
 
 私の場合、30歳台後半で幸いにも理想的な上司と、理想的なタイミングで出会うことができ、それからその上司の下で10年に渡って経営はとして必要な多くのことを学べたのが大きい。 トップは色々と考えた上で、最後にはハラを決めて意思決定する。 そして決定した戦略を実行するためにリーダーシップを発揮して組織を動かす。 効率的に組織を動かすための制度や仕組みづくりにも取り組む、といったの多くの能力を吸収させていただいた。 今は逆に自分が人材育成にあたる立場となった。 部下や後輩を見ていても、やはり伸びる人は常日頃努力しているし、何かきっかけがあってとなってポンと伸びている。 彼らには、私のような外部人材の良いところは徹底的にベンチマークして(貪欲に盗み取ってもらって)、また悪いところは反面教師として大いに活用して欲しい。 (こういったきっかけの役割を果たすのも外部人材の重要な価値である。)
 
 組織としては、そういう外部から貪欲に学ぶという社風があることが、グローバル化を進めていく上での強みとなる。 幸い今私が所属している組織はこういう文化が根付いている。 社員の半分弱が中途採用者、現地法人3社のうち2社のトップが外部人材である。 道半ばではあるが、こういう組織はグローバル化を進められる大きなポテンシャルがあり、幸いにもそういう組織に所属する私のような外部人材もそれを実現する責任がある。 そもそも、中途採用社が活躍できないような組織は、ダイバーシティも実現できないのではないか。 
 
 今回は私の主観も混じったやや感覚的な話になってしまい恐縮であるが、最近こういう考えを裏付ける経営理論に出会ったので、別の機会にまた述べてみたい。 次回からは、社内でこういった人材を育成する方法論について考えていきたい。