中堅企業のためのグローバル化最適解を考察するブログ

中堅日本企業のグローバル展開をどう進めるのがベストか? 海外勤務22年のノマドビジネスパーソンが、同じ立場で悪戦苦闘されている方々の参考にしていただけそうな経験に基づく情報を発信してまいります。

出島人材の育成3:必要なハードスキルとその習得方法4

第三期:日系メーカーの米国現地法人で、営業マネージャーから現地責任者となるまで


 29歳で最初の転職。 転職先は勤務していた商社の取引先でもある日系の中堅メーカーで、当時売上の7割が海外向け輸出であるユニークな会社。 30歳で念願の米国に営業マネージャー(といっても、社長を含め社員4名の小さな世帯であったが)として赴任した。 顧客は100%米国ローカル企業。 商社時代に海外のサプライアーとの折衝はかなり経験していたが、対サプライアーと対顧客での交渉はかなり勝手が違うことに戸惑う。 サプライアーとはほぼ対等な立場で交渉ができるが、対顧客となると基本的には相手のほうが立場が上であり、ときには理不尽と思える要求や依頼を上手くさばきながら、同時に顧客との人間関係を深めていく必要がある。 サプライアーはこちらの英語力に配慮して、日本人である私にもわかりやすい英語を話してくれるケースが多かったが、お客さんは一般的にはそこまで気を使ってくれない(そうでない方もたくさんおられたが)。 対顧客のほうが格段に高いコミュニケーション能力が必要となることを実感した。 思うように行かず自己嫌悪に陥ることもよくあり、TOEIC等の検定試験で高得点をとってもそれだけでは全然ダメということを身にしみて感じた。 


 また、米国法人は小さいながら独立事業体である。 当然、営業・マーケティング以外に経理や人事・労務管理、法務といった、経営の要素となる色々な仕事を英語環境でやる必要性も出てくる。 徐々に経営全般に関して体系的かつ効率的に学びたいという気持ちが強くなっていき、地元のコミュニティーカレッジで受講できるパートタイムの経営学コースに通うことにした。 


 必要な書類を準備して出願、入学試験(英語と数学、それほど難しくはない。)もパスして無事入学。 授業の時間と自分のスケジュールをすり合わせて、コースはほぼ自由に選べる(但し、Pre-requisitといって、ある単位を取ってからでないと履修できない上級科目はある)。 私は、平日週2日仕事が終わってから3時間程度、土曜日午前中に授業を受けることにした。 同じクラスで日本人は殆ど見かけなかった。 ビジネスコミュニケーションやイングリッシュコンポジション(日本の英作文とは全く異なるカリキュラム)、アカウンティング、ファイナンス、HRM、マーケティング、ビジネスローといった単位を2年間かけて取得していった。 経営で必要な活きた語彙や表現が学べるだけでなく、仕事にすぐ活用できる内容も多く非常に有意義な経験だった。 学ぶことの楽しさもはじめて実感できた。 更に、自分の頭の中で「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」というようなパラダイムの変化が自然に起こっていったという意味で、今振り返ってみてもコミュニティーカレッジでの学びは自分にとって貴重な財産である。